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PFAS規制と、PTFE・UHMWテープの選び方

公開日: 2026年10月14日 / 株式会社サンワ

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PTFEフィルムのSKテープ

本記事は医療・食品・航空宇宙分野等に関する一般的な材料特性の解説であり、弊社取扱製品の当該用途への適合を保証するものではありません。適合性については個別にお問い合わせください。

PFAS(ピーファス)という言葉を、最近お客様からもよく聞くようになりました。「いま使っているふっ素樹脂のテープは大丈夫か」「代わりになるものはあるか」というご相談です。当社は PTFE(ふっ素樹脂)のテープも、ふっ素を含まない UHMW(超高分子量ポリエチレン)のテープも扱っています。どちらかを持ち上げるのではなく、選ぶときに知っておいていただきたいことを、2026年10月時点の情報で整理します。

PTFE は PFAS に含まれるのか

含まれます。OECD(経済協力開発機構)が2021年に示した定義では、完全にふっ素化された炭素(−CF2− など)を1つ以上持つ物質を PFAS と呼びます。PTFE はこの構造の繰り返しでできているため、定義の上では PFAS の一種です。(PTFE は「テフロン™」の名でも広く知られている樹脂です。)

ただし、健康や環境への懸念から先に規制されてきたのは、PFOS・PFOA・PFHxS といった分子の小さい PFAS です。日本では化審法でこの3つが製造・輸入の禁止対象になっています(PFOS 2010年、PFOA 2021年、PFHxS 2024年)。PTFE そのものは、2026年10月時点で日本の法規制の対象ではありません。

フッ素樹脂の業界団体は「分子が大きく安定したフッ素樹脂は懸念の低いポリマーだ」と主張しています。一方で欧州では、その主張だけを理由に規制の対象から外すことは認められていません。

PTFEをガラスクロスに含ませた耐熱テープ(HSテープ)

欧州と米国の動き

欧州(EU) では、PFAS をまとめて制限する案が2023年に出され、審議が続いています。 2026年3月に専門委員会の一つ(RAC)が最終意見をまとめ、もう一つ(SEAC)の最終意見は2026年末の見込みです。その後、欧州委員会の案づくりと加盟国・議会の審査に進むため、施行の時期はまだ決まっていません。フッ素樹脂は、用途ごとに猶予や適用除外を設ける方向で議論されています。

米国 では州ごとに規制が進んでいます。ミネソタ州は2025年から一部の消費者向け製品で PFAS の意図的な使用を禁止し、2032年には「なくてはならない用途」以外に広げる予定です。メイン州も2026年から対象の製品を広げました。産業用の部材、たとえば工場で使う粘着テープがどこまで対象になるかは、州ごとに異なり、はっきりしない部分が残っています。

PTFE はなくならない。ただしリスクを抱える素材になる

PTFE は、耐熱性・耐薬品性・くっつきにくさ・電気を通さない性質を、一つの素材で高い水準で持っています。半導体の製造装置や、熱と薬品にさらされるシール材などでは、置き換えが難しいとされています(業界側の見解)。このため、PTFE の製造が止まることは考えにくく、必要な分野では使われ続けるはずです。

一方で、選ぶ側から見ると次の点は見ておく必要があります。

  • 規制の先行き: 輸出する製品や、欧米の取引先に納める装置に使う場合、将来の規制や報告の義務に関わる可能性がある
  • 取引先からの確認: 「PFAS を含む部材を使っているか」という調査票が届くことが増えている
  • 価格と供給: 原料(ふっ化水素など)の調達事情に左右されやすい。大手化学メーカーの3M は2025年末で PFAS の製造から撤退した

テープの大手メーカーでもあるサンゴバン(Saint-Gobain Tape Solutions)は、ふっ素樹脂に代わる素材(ポリイミド・シリコーン・ポリエステルなど)の検討を進めていることを、自社サイトで紹介しています(「Tape Solutions for Sustainable Initiatives」より)。

供給について — 当社の状況

半導体、EV、そして AI 関連の設備投資で、PTFE やガラスクロスを使う製品の需要は伸びています。業界全体では、品目によって品薄や納期の延びが続いており、この傾向はしばらく続くと当社は見ています。

そのなかで、当社の PTFE・ガラスクロス系テープの供給は、これまでとほぼ同じ水準を保っています。現時点では、極端な長納期になることや、納期が未定になる可能性は低いと考えています(2026年10月時点)。指定幅のスリット加工も、通常どおり承っています。お急ぎの場合は、ご注文前に在庫と納期をお問い合わせください。

UHMW はふっ素を含まない

UHMW(超高分子量ポリエチレン)は、炭素と水素だけでできた樹脂です。ふっ素を含まないため、PFAS の定義には当てはまりません。そのぶん規制の議論の外にあり、ふっ素樹脂の原料価格の影響も受けません。安定して調達しやすい素材です。

当社の POテープ(UHMW)は、基材だけでなく粘着剤・はく離紙にも、PFAS を意図的に使用していません。

幅の違うPOテープ(UHMW)のロール

ただし、PTFE の代わりにどこでも使えるわけではありません。

UHMW(POテープ) PTFE(SKテープ) PTFE含浸ガラスクロス(HSテープ)
基材のふっ素 含まない 含む 含む
得意なこと すべり・摩耗に強い くっつかない・薬品に強い 熱に強い・くっつかない
耐熱(製品データ) 107℃ 176℃ 260℃
向く場所の例 搬送ガイド・摺動部 離型・付着防止 ヒートシールの熱板

PTFEフィルムのSKテープ

選び方の目安

  1. 熱がかからず、こすれる場所(搬送ガイド・シュート・摺動部)なら、まず UHMW(POテープ)を検討する。もともと摩耗にはこちらが向いています
  2. 熱がかかる場所、くっつかないことが一番大事な場所は、いまも PTFE が有力です。無理に置き換えず、使う場所を絞る
  3. 輸出品や欧米向けの装置に使う場合は、取引先の方針を先に確かめる

PTFE をガラスクロスに含ませた耐熱テープを、滑りのために使っている現場もあります。熱と離型のためのテープなので、テープの品質の問題ではなく、用途の向き不向きの話として、こすれ続ける箇所では UHMW に替えたほうが長持ちすることも少なくありません。規制への備えと、テープの持ちの改善が、同時にできる場合があります。

どのテープが合うか迷ったら、使う場所・温度・困っていることをお知らせください。 POテープとSKテープはサンプルで比べることもできます。 PFAS を含まない素材での置き換えをお探しの場合も、使う場所と温度をお知らせください。

※ テフロン™ は The Chemours Company の商標です。

※ 規制の情報は2026年10月時点のものです。最新の状況や、個別の製品が規制の対象になるかは、所管の官公庁や専門家にご確認ください。

参考資料

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